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第2章【節税効果の3比較】

売上が同じでも、手取りは年100万円以上変わります。 ポイントは3つだけ。①青色65万、②専従者給与、③共済・iDeCo フル活用。 それぞれの効果を年収別の節税額表で見せます。

2-1. 比較①:青色65万 vs 白色(控除の差)

「青色って面倒くさそう」と敬遠している副業者・専業者へ。面倒くささを上回る金額を見てください。

同じ事業所得・青色65万 vs 白色の節税額(年)

事業所得 限界税率 青色65万の節税額(所得税+住民税) 月換算
200万 15%(5+10) 9.8万 0.8万
300万 15%(5+10) 9.8万 0.8万
500万 30%(20+10) 19.5万 1.6万
600万 33%(23+10) 21.5万 1.8万
800万 43%(33+10) 28.0万 2.3万
1,000万 43%(33+10) 28.0万 2.3万
1,500万 43%(33+10) 28.0万 2.3万

読み解き:青色65万の節税効果は「65万 × 自分の限界税率」。事業所得500万なら年20万・事業所得1,000万なら年28万が浮きます。

青色65万の要件(3つ全部YESが必要)

✅ 1. 複式簿記での記帳(弥生青色申告オンラインで自動)
✅ 2. e-Tax での電子申告 OR 電子帳簿保存
✅ 3. 期限内申告(3/15まで)

失敗パターン:紙提出+複式簿記だけだと55万円控除に減額。e-Taxにしないだけで年5〜7万円損します。弥生青色申告オンラインなら自動で65万円要件を満たすメニューになっています。

青色65万・55万・10万の3段階(差額の正体)

青色のグレード 要件 控除額 限界税率30%時の節税効果
65万円コース 複式簿記+e-Tax または 電子帳簿保存 65万 19.5万
55万円コース 複式簿記のみ(紙提出) 55万 16.5万
10万円コース 簡易簿記 10万 3.0万
白色 帳簿のみ(控除なし) 0万 0万

3万円差を取りに行く:65万コースと55万コースの差は10万円。限界税率30%なら年3万円の差。月10分でできるe-Tax電子申告を選ばない理由は、ないです。

2-2. 比較②:専従者給与 あり vs なし

配偶者を専従者にして給与を払うと、その給与は丸ごと経費になります。配偶者側で給与所得控除(最低55万)を取れるため、世帯トータルで節税効果が大きい。

配偶者を専従者にした場合の節税額(年)

前提:あなたの事業所得(専従者給与控除前)が下表の値、配偶者を青色専従者として月15万円(年180万円)の給与を支給するケース。配偶者側で給与所得控除55万+基礎控除48万=103万円の控除を取り、配偶者本人の課税所得は77万円(所得税3.85万+住民税7.7万=11.55万)。

事業所得 あなたの限界税率 給与180万→経費化の節税額 配偶者の追加負担 世帯ネット節税
400万 30% 54.0万 11.6万 +42.4万
600万 33% 59.4万 11.6万 +47.8万
800万 43% 77.4万 11.6万 +65.8万
1,000万 43% 77.4万 11.6万 +65.8万
1,500万 43% 77.4万 11.6万 +65.8万

読み解き:事業所得800万円・配偶者を月15万専従者にするだけで、世帯の手取りが年65.8万円増。月5.5万円の差です。

失敗パターン3つ(必ず避ける)

❌ 1. 実態がない(配偶者が実際に業務をしていない)
   → 税務調査で否認、5年遡って追徴
❌ 2. 過大支給(業務内容に見合わない高額)
   → 一般的な相場(事務月10〜20万・営業月20〜30万)を超えると指摘リスク
❌ 3. 配偶者控除との二重取り
   → 専従者にした年は配偶者控除(38万)が使えない(仕様。トータルで判断)

配偶者控除との比較:専従者給与180万の世帯ネット節税が47.8万(事業所得600万)に対し、配偶者控除38万の節税は11.4万(限界税率30%×38万)。圧倒的に専従者のほうが得ですが、社保の被扶養者から外れるラインに注意(130万超)。

専従者給与の月額レンジ別シミュレーション(事業所得800万ケース)

専従者月額 年額 配偶者の課税所得 配偶者税負担 あなたの節税効果 世帯ネット
月8万 96万 0万(給与控除55万+基礎48万でゼロ) 0万 41.3万 +41.3万
月10万 120万 17万 2.5万 51.6万 +49.1万
月15万 180万 77万 11.6万 77.4万 +65.8万
月20万 240万 137万 20.5万 103.2万 +82.7万
月25万 300万 197万 29.5万 129.0万 +99.5万

読み解き:月20万・年240万を専従者給与にすると、世帯ネットで年82.7万円の手取り増。ただし月20万を超える給与は税務調査で指摘されるリスクが増えるので、配偶者の業務内容(経理・営業事務・撮影・編集等)を業務日報で残してください。

専従者給与の届出タイミング(重要)

✅ 開業届と同時に「青色事業専従者給与に関する届出書」を出す
✅ 期中で配偶者を専従者にする場合:その年の3/15まで(または事業開始後2ヶ月以内)に届出
❌ 届出を出す前に給与を払う → 全額が経費にならない
❌ 届出した金額を超えて支給 → 超過分は経費否認

2-3. 比較③:iDeCo + 小規模企業共済 + 国民年金基金 フル vs なし

3つの控除をフル活用すると、年200万円超の所得控除が作れます。 専業の個人事業主だけが使える「小規模企業共済」と「国民年金基金」がポイント。

3つの上限額(個人事業主・40歳未満)

制度 月額上限 年額上限 控除区分 出口(受取時)
iDeCo 6.8万円※ 81.6万円 小規模企業共済等掛金控除 退職所得控除+公的年金等控除
小規模企業共済 7.0万円 84.0万円 小規模企業共済等掛金控除 退職所得控除(共済金A)or 公的年金等控除(共済金B)
国民年金基金 6.8万円※ 81.6万円 社会保険料控除 公的年金等控除
3つフル合計 20.6万円 247.2万円 (iDeCoと国年基金は合算で月6.8万上限) -

※iDeCoと国民年金基金は合算で月6.8万円が上限。両方フル満額にはできず、配分の問題になります。本表は「iDeCo月3.4万+国年基金月3.4万+小規模共済月7万=月13.8万、年165.6万」を「フル活用ケース」とします。

フル活用 vs なしの節税額(年・専業者ケース)

事業所得 限界税率(社保込み実効) フル活用控除165.6万の節税額 月換算
400万 約30% 49.7万 4.1万
600万 約35% 58.0万 4.8万
800万 約43% 71.2万 5.9万
1,000万 約43% 71.2万 5.9万
1,500万 約43% 71.2万 5.9万

読み解き:事業所得600万円なら、月13.8万円を共済・年金に積み立てるだけで年58万円の節税。しかも老後資金として戻ってくるので、純粋な貯蓄+節税の二重メリットです。

キャッシュアウトの注意:月13.8万円は実際に支払う金額です。手元現金が窮屈な1〜2年目は無理せず、まずiDeCo月2.3万円から始めるのが定石。

段階的に増やすロードマップ(事業所得600万ケース)

期間 月額(小規模+iDeCo+国年基金) 年額 節税効果(年) 累積積立
1年目 月3万(小規模3+iDeCo0+基金0) 36万 約12.6万 36万
2年目 月5.3万(小規模3+iDeCo2.3+基金0) 63.6万 約22.3万 99.6万
3年目 月10万(小規模7+iDeCo2.3+基金0.7) 120万 約42万 219.6万
4年目以降 月13.8万(小規模7+iDeCo3.4+基金3.4) 165.6万 約58万 385.2万→

20年継続のインパクト:4年目以降のフル満額165.6万を20年間続けると、累積積立3,312万円+累積節税1,160万円=総合4,472万円の老後資産形成になります。

出口の注意点(受取時の課税)

共済・iDeCoは「払い込み時に所得控除+受取時に課税」という後払い方式。

✅ 退職所得として受け取る場合
   → 退職所得控除(勤続年数×40万・20年超は70万)+1/2課税で実効税率10〜15%
   → 入口の節税効果(限界税率30〜43%)を考えると差額は丸儲け

✅ 年金として受け取る場合
   → 公的年金等控除(年110〜200万円程度)+他の年金所得との合算

❌ 短期解約すると元本割れ
   → 小規模共済は20年未満解約で元本割れあり
   → iDeCoは原則60歳まで引き出し不可

2-4. 共済3つフル vs なし のクロスマトリクス

事業所得別×制度別の節税額を一目で。自分の事業所得の行を切り取って、何を組むか判断してください。

事業所得 限界税率 iDeCo月2.3万のみ 小規模共済月7万のみ 国年基金月3.4万のみ 3つフル(月13.8万)
300万 15% 4.1万 12.6万 6.1万 24.8万
500万 30% 8.3万 25.2万 12.2万 49.7万
800万 43% 11.9万 36.1万 17.5万 71.2万
1,000万 43% 11.9万 36.1万 17.5万 71.2万
1,500万 43% 11.9万 36.1万 17.5万 71.2万

読み解き:限界税率が高い専業者ほど、共済3つフル活用のインパクトが大きい。事業所得1,500万なら、月13.8万円積むだけで年71.2万円の節税。所得税の高い税率帯に近づくほど、効率は青天井です。

共済3つの違い・どれを優先する?

制度 優先度 理由 留意点
iDeCo ★★★ 自分で運用先選択、運用益非課税、出口は退職所得控除 60歳まで引き出し不可
小規模企業共済 ★★★ 中小機構運営、廃業時に退職金代わり、貸付制度あり 20年未満解約で元本割れ
国民年金基金 ★★ 終身年金、障害給付あり、口数追加・減額自由 物価スライドなし、長生きリスクヘッジ向き
付加年金 月400円で老後200円増(2年で元取り) 国年基金と併用不可

始める順序:iDeCo → 小規模共済 → 国民年金基金。iDeCoと国民年金基金は合算で月6.8万が上限なので、「iDeCo月2.3万を満額にしてから残り4.5万を国年基金」が定石。

年齢別・共済3つの始め方

年齢 推奨パターン 理由
20〜30代 iDeCo月2.3万+小規模共済月3万 長期運用効果を最大化
30〜40代 iDeCo月2.3万+小規模共済月7万+国年基金月3万 控除フル活用+老後資金確保
50代 小規模共済月7万+国年基金月3万+iDeCo月2.3万 出口戦略を先に考える
60代 小規模共済月7万のみ(iDeCo拠出停止が現実的) 受取準備フェーズ

2-5. 3つの組み合わせ別・事業所得別の節税額マトリクス

3つの節税要素(青色65万・専従者180万・共済フル165.6万)を4通りの組み合わせで並べます。 配偶者がいる前提・配偶者を専従者化したケースの世帯ネット節税額です。

組み合わせ 事業所得400万 600万 800万 1,000万 1,500万
何もしない(白色) 0 0 0 0 0
青色65万のみ 19.5 21.5 28.0 28.0 28.0
青色65万+共済フル 69.2 79.5 99.2 99.2 99.2
青色65万+専従者 61.9 69.3 93.8 93.8 93.8
3点セット(青色+専従者+共済) 111.6 127.3 165.0 165.0 165.0

読み解き:事業所得800万円なら、3点セットで年165.0万円の節税。月13.8万円の手取り増です。

特に効くゾーン:事業所得1,000万円を境に、青色65万単独の効果は頭打ち(限界税率が33→33%で変化なし)になりますが、共済等の効果は事業所得が高いほど青天井で伸びます。

2-6. 3つフル組み合わせのインパクト(売上同じでも手取り年100万差)

「①青色65万+②専従者給与180万+③共済フル165.6万」を全部やった人 vs 全部やらない人で、手取りがどれだけ違うか。

共通前提:事業所得(控除前)800万円、東京23区専業、独身ベース→専従者給与で配偶者を活用、扶養なし、40歳未満。

項目 フル活用なし(白色・専従者なし・共済なし) フル活用あり(青色65万+専従者180万+共済165.6万)
事業所得(控除前) 800万 800万 -
専従者給与 0万 -180万 -180万
青色申告特別控除 0万 -65万 -65万
事業所得(あなた側) 800万 555万 -245万
国保(東京23区概算) 108万 76万 -32万
国民年金(年) 21万 21万 -
共済等控除 0万 -165.6万 -165.6万
基礎控除 -48万 -48万 -
課税所得 623万 244.4万 -378.6万
所得税+復興+住民税 138.5万 36.7万 -101.8万
配偶者の追加税負担 0万 11.6万 +11.6万
世帯のネット手取り(年) 532.5万 635.7万 +103.2万

結論:売上・経費は完全に同じでも、節税3点セットを組むと世帯手取りが年103万円多い。月8.6万円の差です。

始める順序(迷ったらこの順)

1. 弥生青色申告オンラインに登録 → 青色65万を取りに行く
2. 配偶者がいるなら専従者給与の届出を出す(事前届出が必要)
3. 小規模企業共済 月3万円から開始(無理なく続けられる額)
4. iDeCo 月2.3万円を追加
5. 6ヶ月以上続けられたら、共済を月7万まで段階増額
6. 余裕があれば国民年金基金を追加(iDeCoと合算で月6.8万まで)

2-7. 節税の優先順位フローチャート(テキスト版)

「結局、何から始めればいい?」を1枚のフローチャートで答えます。

START
  │
  ▼
[Q1] 開業届は出した?
  │
  ├─ NO → ① 弥生開業届で15分申請(青色申請も同時に)
  │       https://www.yayoi-kk.co.jp/kigyo/starting/
  │
  └─ YES
      │
      ▼
   [Q2] 青色申告承認申請書は出した?
      │
      ├─ NO → ② 開業から2ヶ月以内に税務署へ提出
      │       (遅れると初年度白色になる)
      │
      └─ YES
          │
          ▼
       [Q3] 弥生青色申告オンラインに登録した?
          │
          ├─ NO → ③ 弥生青色申告オンラインで複式簿記+e-Tax体制
          │       https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/aoiroshinkoku/
          │
          └─ YES
              │
              ▼
           [Q4] 配偶者がいる?
              │
              ├─ YES → [Q4-1] 配偶者の業務実態がある?
              │           ├─ YES → ④a 専従者給与届出(月10〜20万を経費化)
              │           └─ NO  → 通常の配偶者控除のまま
              │
              └─ NO(独身)
                  │
                  ▼
               [Q5] 小規模企業共済に加入した?
                  │
                  ├─ NO → ④ 中小機構で月3万円から開始(後で月7万まで増額)
                  │
                  └─ YES
                      │
                      ▼
                   [Q6] iDeCoに加入した?
                      │
                      ├─ NO → ⑤ 月2.3万円から開始
                      │
                      └─ YES
                          │
                          ▼
                       [Q7] 事業所得600万円超?
                          │
                          ├─ YES → ⑥ 国民年金基金の追加検討(iDeCo合算で月6.8万まで)
                          │
                          └─ NO  → 現状維持で次年度の所得アップに集中

[Q8] 課税所得600万 OR 年商1,000万到達?
  │
  ├─ YES → ⑦ 法人成り試算開始(連載「AIで一人起業の教科書」に進む)
  │
  └─ NO  → 個人事業の最適化を継続

2-8. 節税スタート3週間プラン

短気なあなたの「今日から3週間で何をやるか」リストです。

1週目:基盤づくり(合計2時間)

□ Day 1(30分):弥生「開業届」で開業届+青色申請を電子申請
□ Day 2(30分):弥生青色申告オンライン セルフプランに登録
□ Day 3(30分):事業用銀行口座を開設(屋号付きが望ましい)
□ Day 4-5(30分):個人カードと事業用カードの分離設計
□ Day 6(30分):マイナンバーカード+電子証明書の準備(e-Tax用)
□ Day 7:1週目振り返り+翌週の具体予定確定

2週目:節税オプション準備(合計1.5時間)

□ Day 8(30分):小規模企業共済 月3万円から申込み(中小機構HP)
□ Day 9(30分):iDeCo 月2.3万円から申込み(証券会社経由)
□ Day 10(15分):配偶者がいるなら専従者給与届出書を作成
□ Day 11(15分):必要なAIツールのリストアップ+経費化見積もり
□ Day 12(15分):自宅の家事按分根拠(家賃・光熱費・通信)を文書化
□ Day 13(15分):仕事用書籍・備品・PC等の経費計上ルール作成
□ Day 14:2週目振り返り+3週目で売上アップ案件の方針決定

3週目:実行+将来計画(合計1時間)

□ Day 15-17:弥生に1月からの売上・経費を遡及入力(毎日15分)
□ Day 18(30分):年間の節税額シミュレーション(弥生の機能で)
□ Day 19(15分):来年3/15の確定申告に向けたToDoリスト作成
□ Day 20(15分):法人成りラインの自分の現在地を確認
□ Day 21:3週間総括+月次レビューの仕組み化

第2章のCTA:弥生青色申告オンラインで全自動

ここまで読んで「青色65万・専従者・共済を全部やる」と決めたあなたに、手段を1つだけお勧めします。

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